雲南少数民族

1949年の中華人民共和国成立(「解放」)いらい、中国はいくたの大きな社会変化を経てきました。1950年代の集団化、1960年代後半からの文化大革命、1980年代からの改革開放路線。国際政治学ではさかんに論じられている中国の現代史は、政治変化のなかでひとびとが生活レベルでどんな経験をしてきたかについてはあまり教えてくれません。

雲南少数民族研究プロジェクトでは、国家規模の政治変化のなかで、雲南の少数民族のひとびとがどのような生活変化を経てきたかに焦点を当てます。とくに、彼らの文化伝統、風俗習慣、無形文化遺産(芸能・儀式・祭礼・口承・伝統工芸技術など)は、どのような変化をこうむり、どのように維持保存され、また再創造されようとしているのでしょうか。

本プロジェクトでは、とくに雲南少数民族のひとつのラフ族(拉祜族)を具体的な研究対象として、フィールドワークを中心とした研究をおこなってゆきます。中国語の資料も参照しながらも、現地語(ラフ語)による村落調査からなにが見えてくるか、ラフのひとびとの生活経験の変化が明らかにできればと願っています。

雲南少数民族プロジェクトは、雲南民族大学民族文化学院との協力のもとで進められます。

研究者紹介

近影

西本 陽一

金沢大学文学部 准教授

研究テーマは「北タイ山地少数民族ラフにおける宗教変容と語り」で、主な著作に『神話の社会空間―山地民ラフの『文字/本の喪失』の物語』(世界思想社)などがある。