「音楽の郷」新疆

新疆ウイグル自治区は中国の北西部に位置し、「新彊」と略称されます。新疆は中国国内では「果物の郷」と「音楽の郷」という名でよく知られています。新疆のどこにいても多様な果物と多様な音楽を見かけない人はいないでしょう。この多様な音楽の原点は、新彊が多民族地域であり、「古代シルクロード」文化交流の十字路であること、そして音楽を生活の一部として暮らしてきた人々の生活そのものにあると思います。

新疆には47の民族が暮らしているといわれていますが、この地域に民族独自の社会を形成しているのは13の民族です。この13の民族の伝統音楽は主に3つの体系に分けられます。一つはアラブーペルシア体系で、ウイグル、ウズベク、タジクなど民族の伝統音楽はこの体系の特徴を持ちます。もう二つめはヨーロッパ音楽体系で、カザフ、ケルゲズ、タタル、ロシアなど民族の伝統音楽はこの体系の特徴を持ちます。そして三つめは中国音楽体系で、漢族、回族、モンゴル、満州、シボ、ダオールなど民族の伝統音楽はこの体系の特徴を持ちます。

新疆の民族音楽研究に関しては、ウイグル族の「12ムカム」(詩歌、音楽、舞踏などを一体化させた芸術)の分野が最も関心を集めています。1952年以来、「ムカム」に関する著書、研究論文、テープなど数多く出版されるようになり、現在研究が益々深化しています。2005年に、「ウイグル12ムカム」はユネスコの「世界無形文化遺産」のリストに登録されることになりました。今後、他の民族の音楽や、「ムカム」以外の音楽の研究がすすめることも課題となっています。

研究者紹介

近影

シュクル ラフマン (Shukur Rahman)

金沢大学文学部 博士研究員

金沢大学博士研究員として本プロジェクトのスタッフを務めるかたわら、現代ウイグル民族音楽などの研究を行っている。