石川県内の太鼓は、大きく三系統に分類することができます。祭りと深いかかわりを持つ能登地区の太鼓、温泉と結び付いて発展してきた加賀地区の太鼓、農村の虫送り行事と関係の深い加賀・金沢地区の太鼓ですが、みられるように、地域的な特色と一体化したものです。それぞれに、使う太鼓の種類も、演奏者の人数も、演奏するリズムパターンも異なっており、各地区はそれぞれの特色を守りながら、新しい様式を取り入れつつ活発な活動を続けています。社団法人石川県太鼓連盟には現在80以上の団体が所属し、「石川の太鼓」をはじめとする演奏会活動の他、ジュニアコンクールの開催などを通して、次世代への継承にも力を入れています。
ただ、石川の太鼓の歴史的な背景に関する調査・研究の分野はやや手薄であり、本事業と提携することにより、この方面の充実をめざしています。
すでに本学の教育開放センターでは、今年度「太鼓学入門」という通年の講座を開設しており、太鼓に関する多角的な研究の一環としています。この他、本事業とのかかわりでは、当面、輪島市の御陣乗太鼓関係者への聞き取り調査及び能登地区の太鼓と祭りとの関係などに焦点を絞り、調査をすすめているところです。いずれ、これらの調査結果を踏まえた演奏会なども企画したいと考えています。
また、加賀地区、金沢地区についても随時調査・研究を進めていく予定です。
木越 治
金沢大学文学部 教授
浮世草子、上田秋成や井原西鶴を研究テーマとし、著書・論文に『都賀庭鐘・伊丹椿園集』(国書刊行会)・『秋成論』(ぺりかん社)・「瑞龍山下の老隠戯書─『春雨物語』と和歌─」(江戸文学27号・2002)など。
神谷 浩夫
金沢大学文学部 地理学講座 教授
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