金沢大学歴史言語文化学系教授
木越 治

 石川県は全国的にみても、太鼓の盛んな地域といわれている。しかし、その実態は必ずしも明らかではない。社団法人石川県太鼓連盟(以下「連盟」と省略)に加盟しているチーム数は、2010年1月現在88チームに達しているが、連盟に加入せず独自に活動しているチームも少なからず存在している。それゆえ、県内の太鼓の実態を調査するためには、なによりもまず、地域ごとに、どのような団体があり、どのような活動を行なっているかを調査しておく必要があると思われる。
本年四月より、太鼓に関心を持つ博士研究員・学部学生諸氏の全面的な協力を仰いで、包括的な調査に着手することにし、とりあえず、2010年1月の段階で調査し得た情報を『いしかわ太鼓まっぷ2010』としてまとめた。連盟加盟団体の他に、同じくらいの太鼓団体の情報を掲載しているが、この数字は、おそらく太鼓関係者にとってもおどろくべき数字ではないかと思う。すべては調査にあった博士研究員・学部学生諸氏の努力のたまものであり、その点は大いに誇っていいことだと思う。
今後は、これらの情報をもとに、特に、能登地区を中心に、祭りなどのイベントと太鼓とのつながりについての調査をすすめていく予定である。こうした調査活動を通して、石川の太鼓の実態とルーツ解明に一歩でも近づくことができればと考えている。

 なお、調査にあたって、社団法人石川県太鼓連盟からは加盟団体に関する情報を全面的に提供していただき利用させていただくことができた。心から感謝したい。また、個々の加盟団体からも非常に多くの貴重な情報を提供していただいた。あわせて感謝の意を表するものである。さらにまた、文書及び電話等での煩瑣な質問に丁寧に答えていただいた各団体の責任者・事務局担当の方々にもお礼を申し上げたいと思う。